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伝統的工芸品指定30周年「十日町明石ちぢみ」②

「十日町明石ちぢみ」と「十日町絣」が伝統的工芸品指定され、今年は30周年を迎えます。

以前も「十日町明石ちぢみ」について何回かにわけて記事を掲載致しましたが、改めて伝統的工芸品「十日町明石ちぢみ」をご紹介致します。今回は「十日町明石ちぢみ」の歴史です。

「十日町明石ちぢみ」の歴史

 

「明石ちぢみ」は今から400年ほど前、播州明石の船大工の娘・お菊によって「かんなくず」をヒントに考案されたといわれています。また、『本朝俗諺誌』に「明石縮は豊後国小倉の名産なり」という記述が見られるように、明石藩主の小笠原氏が豊前小倉に国替えとなり、小倉でも生産されていました。

 

享保年間に刊行された『万金産業袋』に「たて絹糸、横もめんいとにて、尤もよくうつくしく縮たる物也。」とあり、もともとは、経緯とも木綿でありましたが、苧と絹の交織が生まれ(苧縮)、やがて経緯とも絹糸になり、「明石本縮」と呼ばれた歴史もあります。

 

そして、明治20年頃、新潟県柏崎町の越後縮問屋・洲崎栄助が、西陣の織物業者が「明石ちぢみ」を研究しているのを見て、西陣より湿度が高く、越後縮以来の強撚糸の優れた技術を持つ十日町が織るのに適していると考え、十日町の機業家「米忠」の佐藤善次郎に見本を見せて研究を進めたのが「十日町明石ちぢみ」の始まりです。

撚糸の担当は金子幸吉、意匠は「絣の名人」直井喜代八、整理仕上げの担当は浜間庄蔵。いずれも当時の最も優れた技術者が「明石ちぢみ」の開発に挑むことになりました。

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試行錯誤を繰り返し、更には「澤喜」の田口米蔵との共同研究を進めていきますが、最大の難関は「撚糸」と「整理・仕上げ」であり、幾度もの失敗や血のにじむような苦心を重ねながら、明治27年頃に製品を市場に送り出します。

 

経糸に練糸、緯糸に生糸を使った両シボ明石は「縮緬」に近い地風なので、当初は「透綾縮緬」と呼ばれていましたが、原産地の地名をとって「明石ちぢみ」と命名され、「十日町明石ちぢみ」が誕生しました

 

難産の末に誕生した「十日町明石ちぢみ」ではありますが、割高感が強い上に商品そのものが未完成であったため、当初の需要は必ずしも多くありませんでした。しかし、蒸熱加工により「濡れると縮む」という欠点を克服、「玉の汗にも縮まぬ明石」の名のもとに面目を一新し、その後、防水加工の発明によって高級夏着尺の地位を確立していきます。

 

このような産地の改良・努力とともに、大正年間には生産点数は3万反から15万反へと5倍になり、昭和4年に発表された「十日町小唄(作詞:永井 白湄 作曲:中山 晋平)」がコマーシャルソングとなって、「十日町明石ちぢみ」を全国に広めていき、昭和7年の生産点数は27万反と産地全体の70%を占めるようになりました。

 

昭和10年10月には「明石ちぢみ創作50年祭」が3日間にわたって産地を挙げて盛大に行われ、発展功労者の一人に、吉澤織物で「十日町明石ちぢみ」の製織を始めた五代目吉澤与市(貞治)も選ばれています。

 

十日町小唄(作詞:永井 白湄 作曲:中山 晋平)

 

越後名物数々あれど 明石ちぢみに雪の肌 

 

着たら放せぬ味の良さ

 

 テモサッテモ ソジャナイカ テモ ソジャナイカ

 

昭和14年度の吉澤織物「十日町明石ちぢみ」生産点数は、2,605点という記録が残っています。

 

参考資料 『十日町市史通史編6 織物』

伝統的工芸品30周年を迎える「十日町明石ちぢみ」を産地メーカー直販価格で購入できる記念イベントを下記のように開催致します。

案内状をご希望の方は、

①住所

②お名前

③ご連絡先・電話番号

をご記入の上、メール(info@banjiro.com)にてお申し込み下さいませ。

【伝統的工芸品「十日町明石ちぢみ」&ゆかたコレクション2013】

日時:平成25年6月5日(水)~9日(日)

    午前10時~午後6時30分(5日は正午から、9日は午後5時まで)

会場:ブリッジにいがた(東京都中央区日本橋室町1-6-5 だいし東京ビル1F 03-3243-2840)

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