吉澤 貞治(五代目:吉澤 与市)
昨日から「きもの絵巻館」では、「夏の吉美展」を開催致しております。
今回は伝統的工芸品指定30周年を迎えた「十日町明石ちぢみ」を中心に、様々なお着物を展示致しております。
1階の展示コーナーには吉澤貞治(五代目 吉澤与市)が昭和初期に製作した貴重な「十日町明石ちぢみ」も特別展示致しております。
吉澤貞治は、初代:伴治郎・二代目:与市・三代目:与市・四代目:虎吉に次ぐ吉澤家五代目で、明治30年に吉澤織物の現在地で「十日町明石ちぢみ」の製造を始めたといわれています。
昭和10年10月に盛大に開催された「明石ちぢみ創作50年祭」では、発展功労者の一人に選ばれ、昭和11年に十日町織物工業組合明石部会が発足した時には評議員に就任し、「十日町明石ちぢみ」の生産に尽力しています。
吉澤貞治の名前が、十日町織物史に登場するのは昭和5年からです。
十日町織物組合の組長に阿部隆司が就任し、吉澤貞治は副組長に就任しました。
昭和10年に十日町織物工業組合に改組されると監事に就任、伸びゆく十日町織物の基礎づくりにおおいに貢献しています。産地とのつながりを何より重視しながら、新しい商品を生み出す努力を怠らず、意欲的な活動を展開しました。
統制経済下で製造販売制限を受け、十日町織物が生産縮小していく厳しい時代には、産地のリーダーの一人として難局に立ち向かい、その活躍は、戦後(昭和25年)の吉澤織物株式会社設立につながっていきます。
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