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坂井希久子著『若旦那のひざまくら』⑦

坂井希久子著『若旦那のひざまくら』⑦

長谷川芹は、直営店「KURA」の仕事以外でも、今までの百貨店での経験を活かした活動を展開します。

その一つが、西陣の女将さんネットワークを活用した「おりおりの会」。
西陣織の工程見学。
着物勉強会。
着物コンテスト。
様々なアイデアが出てきますが、最初は、ハロウィンにちなんだフォトラリーを行うことになります。

 

このあたりの展開は、先日、十日町で開催された「きものGOTTAKU」に似たような感じもします。

また、長谷川芹の母親は、有名なキルト作家。
婚約者の母親は、その人に憧れてキルト作品に熱中する、と「きものとキルト」を関連づけるあたりは、ただ今、十日町市内で開催している「きものの街のキルト展」を連想出来ます。

これだけ実店舗の営業と、産地のイベントとの共通点が作品にあるということは、作者である坂井希久子先生が、いろいろなことをきちんと調べて、きもの業界を熟知しているのだと思います。

「きもの」を題材にした名作を残したのは、谷崎潤一郎先生や宮尾登美子先生、幸田文先生などがいらっしゃいますが、きものの産業的な部分や問題点・小売り販売の実態などへの踏み込みはそんなにはありません。

またまだお若い、坂井先生のこれからが、おおいに期待できるところです。

坂井希久子著『若旦那のひざまくら』⑥

坂井希久子著『若旦那のひざまくら』⑥

主人公・長谷川芹が中心となって計画した、西陣老舗の板倉織物の直営店「KURA」。

お盆前にオープンしたもののなかなか、売上につながらない。

当初は丸洗いキャンペーンなどの「フロントエンド商品」で顧客情報を集め、「バックエンド」である自社製品である帯の販売に結びつける戦略ではあるが、社長からのプレッシャーもあり、次第に焦りを感じ始める。

・高額商品を売りつけるのではなく、お客様の不安を取り除き、信頼醸成を心がける。
・押し売りはしない。
・目利きが選ぶ商品を適正販売で扱う。
・直営店だから、ぼったくり価格は絶対にない!という認識
これらが浸透するまでの主人公の我慢が続く!

そして、その日はついにやってくる!

 

主人公・長谷川芹の信念や営業姿勢は「伴治郎」と共通するものがあります。

メーカー直営店だからご提案できる価格


老舗メーカーの歴史があるからこその目利きの商品。

小説のなかの「KURA」と「伴治郎」が重なる、坂井希久子先生の『若旦那のひざまくら』がオススメです。

坂井希久子著『若旦那のひざまくら』おまけ

『若旦那のひざまくら』おまけ

『若旦那のひざまくら』。
西陣織老舗の板倉織物の若旦那・板倉充の婚約者であり、本作品の主人公は長谷川芹。

そして「伴治郎」若女将の旧姓も「長谷川」!
名前も主人公は「芹」で若女将も花に因んでいます。
何という偶然!

この作品との共通点には、本当に驚きます!

坂井希久子著『若旦那のひざまくら』⑤

『若旦那のひざまくら』⑤

長谷川芹は、恋仇の芸妓・菊わかを巻き込んで、直営店のイメージガールにします。

コンセプトを「二十一世紀の街並みに溶け込む着物姿」として、しょうざん生紬に自社商品を合わせて撮影。

いつまでも初釜・観劇では発展性がない。
カフェや町歩きでもいい。

原宿にある「KURA」には、そういった新提案が必要。

 

これは、試みましたが、「伴治郎」では実現出来ませんでした。
桜の頃の明治神宮や、新緑の代々木公園。
表参道にあるお洒落なカフェ、レストラン。
国立競技場近くの絵画館や神宮球場。

「原宿=新きもの」という写真撮影をしたかったのですが、コネがなかった。
残念。

坂井希久子著『若旦那のひざまくら』④

『若旦那のひざまくら』④

その後立地は、明治神宮前駅徒歩8分。ラフォーレから明治通りを北上し、右へ折れる分岐点の一階路面店と決まり・・・。

原宿にオープン予定の直営店は、板倉織物にちなんで「KURA」という店名に決まる。
店内は土蔵をイメージした漆喰塗りで、ライティングには凝る。
コンセプトは「洗練」。

洗練された「目利き」の店。

価格の適正化はもちろん、それ以上に消費者に訴えないといけない。
洋服とは違い「流行」と少し離れた着物に求められるのは、特別感。

 

小説上の「KURA」の場所は「伴治郎」と至近。

「伴治郎」は、吉澤織物初代の吉澤伴治郎から名前を頂き、店名が決まりました。
そして店内は「織物」をイメージし、特殊な紙で、「織物」をイメージした壁紙を作り、長年お付き合い頂いている近所の電気屋さんが驚くような電球を使うほど、ライティングにはこだわりました。

そして、店のコンセプトは「目利き」!

「伴治郎」も適正なメーカー直販価格を提示しています。
また、吉澤織物では普段の流通にあげない、特別なお着物も取り扱っています。

共通点が多くあり、驚きます!

坂井希久子著『若旦那のひざまくら』③

『若旦那のひざまくら』③

長谷川芹、更に続けて。

 

「今は待っていても人が集まらないので、仕掛が必要。
百貨店の催事でも、コーディネートやお手入れの講座などは、集客が見込めました。
あとは安価な着付け教室も良い。」

「伴治郎」でも日曜日まで行っているお手入れキャンペーンは、人気企画です。

また、コーディネートではありませんが、現在法政大学総長の田中優子先生を講師にお迎えして開催した「着物で『源氏物語』を読む会」は、とても好評を頂きました。

坂井希久子先生、なかなかわかっている!

坂井希久子著『若旦那のひざまくら』②

『若旦那のひざまくら』②

長谷川芹、更に続けて。

 

「顧客を育てるという観点ならば、原宿。
できれば表参道近辺の、一階店舗。妥協したとしても人通りの多い場所の二階。
もう一つのメリットの話題性については、テレビへの衣装協力。」

「伴治郎」オープン前に、表参道ヒルズ裏の、ネスパスで販売イベントを開催した際には、予想以上に売れて、驚きました。

また、「伴治郎」オープン直後に、「相棒」から衣裳協力の依頼が来ました。

坂井希久子著『若旦那のひざまくら』①

『若旦那のひざまくら』①

土地代などを考え、大宮か浦和に直営店を計画する、婚約相手である西陣織元若旦那の父親に対して、元百貨店バイヤーの主人公・長谷川芹の一言。

「集客と話題性が大切。

東京は全国から人が集まりますが、大宮や浦和で買い物をするのは地元の人。

着物なら銀座ー今ならば原宿でしょう!」

『若旦那のひざまくら』。おススメの一冊です!!

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西陣の老舗帯メーカーを舞台にした、きもの美人の作家:坂井希久子先生の最新作『若旦那の膝まくら』。
都内有名デパートに務める、女性主人公:長谷川芹が、老舗機屋の若旦那と婚約するするところから物語は始まります。
芹は会社の今後を考え、メーカー直販店を原宿に出店する計画を立案しますが、その過程が「伴治郎」の出店計画時とダブってとても面白かったです。
 
 
 
 
銀座やほかの土地でなく、何故、原宿か?
そんな話があったり、新規のお客様を獲得するために何をするべきなのか?
最初はなかなか本命の「帯」が売れず、義父からの不信感が生まれたり・・。
あるある、と妙に親近感がわく物語です。
 
業界の裏話や京都ならではの慣習や風習も抑えていて、読み応え抜群!!
西陣の住人の言葉遣いも絶妙なスパイスです。
 
きもの愛好家の皆様におススメの一冊。
是非、ご購読を!!
 

『七緒』vol.31

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『七緒』vol.31のP32~P34まで【お誂え派も、リサイクル派も満足の3軒 色の世界の扉を開けに。「おめかし紬」に出会える店】で、「伴治郎」が紹介されました。

「七代目 吉澤与市の世界」の作品を中心に「伴治郎」にてお取扱い致しているきものが紹介されていますので、是非、ご覧下さい。