坂井希久子著『若旦那のひざまくら』⑦
長谷川芹は、直営店「KURA」の仕事以外でも、今までの百貨店での経験を活かした活動を展開します。
その一つが、西陣の女将さんネットワークを活用した「おりおりの会」。
西陣織の工程見学。
着物勉強会。
着物コンテスト。
様々なアイデアが出てきますが、最初は、ハロウィンにちなんだフォトラリーを行うことになります。
このあたりの展開は、先日、十日町で開催された「きものGOTTAKU」に似たような感じもします。
また、長谷川芹の母親は、有名なキルト作家。
婚約者の母親は、その人に憧れてキルト作品に熱中する、と「きものとキルト」を関連づけるあたりは、ただ今、十日町市内で開催している「きものの街のキルト展」を連想出来ます。
これだけ実店舗の営業と、産地のイベントとの共通点が作品にあるということは、作者である坂井希久子先生が、いろいろなことをきちんと調べて、きもの業界を熟知しているのだと思います。
「きもの」を題材にした名作を残したのは、谷崎潤一郎先生や宮尾登美子先生、幸田文先生などがいらっしゃいますが、きものの産業的な部分や問題点・小売り販売の実態などへの踏み込みはそんなにはありません。
またまだお若い、坂井先生のこれからが、おおいに期待できるところです。
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